読んだので感想書いていくシリーズ。読み進めていくと「あれ?タイトルの内容とちょっと違うくない??」と思うのですが、その通りで原題は「The Influential Mind」つまり、影響力のある心。です。


事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学


我々の行動はどれだけ他者から影響を受けているか。逆に影響を与えているか。というのが主題です。昨年末に<わたし>はどこにあるのか ガザニカ脳科学抗議という本を読みました。そちらの本の中にミラーニューロンという他者の情動を理解したり、無意識下に模倣したりするということについて少し言及してあったのですが、その"模倣"の部分を中心とした本といえると思います。もちろんそこ以外の部分にも触れてありますが、中心はそこの部分だと思いました。特に2019年に発刊された本だけあって、現代のSNSや経済的な事情などを絡めた内容となってます。

面白かったので良かったのですが、タイトルはもう少し原題に沿ったものの方が良いのではないかなぁと思いました。

以下、印象に残ったところなど

ツイッターを利用することは日常生活において最も感情を刺激する行為の一つだからだ<中略>ツイートやリツイートをする行為は、感情の高まりを示す脳活動を75%上昇させる

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p61

自分がSNSやめた理由に他者からの影響(感情・意見ともに)を受けたくないというのが大きいです。こういう(影響を受けやすい)のは自分だけ(あるいは少数の人間だけ)かなぁ?と思っていたのですが、科学的にも証明されていたようで。

人は得るものよりも失うものに重きを置く

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p88

自分はこの傾向が強いが故にあまり大胆な行動にでることができない。もう少し主語を大きくして言うと、日本人はこの傾向が強いのではないかと思っていたのですが、別段人種とか関係ないようです。

自らコントロールできるもの_を好むのは適応のなせる業なのだ<中略>大手金融機関の調査によると、回答者の五人に二人が、財産を現金で持っている方が安心できると答えた<中略>それでも投資をするときには、いわゆる「自分のマットレスの下」に投資する_回答者の八十四%が、自国の株に投資したいと答えたのだ<中略>それが不安を軽減し支配感を高めるからだ。それによって銀行口座が豊かになるかどうかは関係ない。

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p110 - 114

これは4章の内容で、4章は端的に説明すると選択することで知識を得ることができる。それゆえに、人は自分が選ぶことで結果が悪くなることがわかっていても自分で選択したがる。これは前述のとおり生き残るために知識を得るという進化の過程で得たもの的な内容でした。内容は非常に面白かったのですが、一つだけ引っかかったのは自国の株に投資したいは日本人でもなんだろうか?という点です。少なくとも自分は日本株が含まれてる銘柄(ここではインデックス投信を指します)は避けて購入するのですが、これは国によって変わるんじゃないかなぁと思った。

いったん脅威を感じると人は否定的な面に着目するようになり、起こりうる問題ばかり考える傾向がある

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p170

これは本当によくわかる問題で、特に自分の場合は顕著だと思います。これはホントに良い結果をもたらさないので、人間そのものの傾向としてそういうものがあるというのを心にとどめておきたいと思った。

操作があまりにも協力に働いたため、参加者の記憶の約半分は本当に変わってしまった。 <中略> 生物学的反応が引き起こされて、前頭葉が後に誤った思い込みを正すことができなくなる

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p198 - 199

集団の力によって自身の回答に自身がなくなってしまった実験の結果らしい。わかりやすく書くと、他の人がAと回答しているので自分はBと思っていたけどAが正しいという気がする。というやつにもう少し意図的な変更を加えた実験の結果らしい。自分は自分の意見が本当に自分のオリジナルなのかどうか、もちろん中には他人の影響を受けてそうなったという自覚があるものもあるけれども、そう自覚がないものも本当に自分がたどり着いたものなのかどうなのかわからなくなることがよくある。こういうのを見ると、そうことが実際にありうるということを示すと同時に益々どこからどこまでが自分のものなのかがよくわからなくなってしまう。

脳は自分以外を競争相手とみなしていて、それゆえに他人の失敗は自分の報酬、他人の成功は自分の損失、とプログラムしているようなのだ

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p203

まさか「他人の不幸で飯がうまい」とかいう2chを地で行くような内容をこんな本で見かけるとは思わなかった。

完全な意見の一致を前にしたときに違った見解を表明できる個人は、三〇%しかいないということがわかっている。

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p216

意外と多いんだなぁと思った。個人の経験ではそんなにいないんじゃないかなぁ。と。なお、私はちゃぶ台返ししてしまう側の人間で、これを読んで就活の時のグループワークで結論決まりかかってたやつをひっくり返してしまったことがあったなぁ。などと思い出して懐かしくなった。

私たちは決断を迫られると、各個人の信頼性や専門技術を無視して、全員の意見を平等に扱うという容易な戦略に立ち戻ることがよくある

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p228

全体の意見が有効に働くケースとそうでないケースがあるということ。

二つの脳を物理的に接続すると、一つの脳が作りだした電気信号から、もう一つの脳が直接学ぶことができる

事実はなぜ人の意見を変えられないのか p240

もちろんこれはマウスによる実験なのですが、そんなことまでやってるのか。というのとそういうことが本当にできるのか。という驚き。

その他


紙だと書き込みし易いけど、後から探すのが手間で電子と比べて一長一短だと改めて思った。