Kindleザッピングで購入シリーズ。タイトル買いしました。


物語は人生を救うのか (ちくまプリマー新書)


「人はなぜ物語を求めるのか」という本の続巻のようです。本の中で何度か言及されています。ただし、前書きに書いてある通り特に前巻を読んでいなくとも問題ないです。私も読んでないです。

一言で感想を書くと、正直なところ微妙でした。

初めの方はストーリーについて文学的な観点で著者の考察が展開されていきます。ここはストーリーとは、フィクションとは、人は何を求めるのか…などなど、なかなか面白いものが多いです。ただ、ストーリーの解説は全体的に何というか回りくどくて脂っこい文章が多いという印象を受けました。詳細は割愛しますが、とにかく字面も含めてもっと端的に書けるんじゃないのか?という疑問が常に頭の中に浮かび続けました。これが例えば一個人のブログで数千文字以下とかであれば問題ないのですが、本の長さになってくるとなかなか厳しいものがあります。

続けて必然性やいわゆる決定論について言及があります。それらに加えて、この本では「人はストーリーを作る」ということが何度も出てくるのですが、この決定論やストーリーを作る話については説明のアプローチは異なりますが<わたし>はどこにあるのか ガザニカ脳科学抗議でだいたい書いてあったのですんなりと頭に入ってきました。ガザニカ脳科学抗議の方がどういった実験を行った結果により…ということが説明してあり納得感がありました。

4章でテンプル騎士団の話をもちいて話の切り口についての解説があり、5章で実在した犯罪の被告が書いた本を例に、人の行動の動機・理由付けとそれは経験を経て変わる。ということについての考察がなされます。ここは自身もおもいあたることもあり「あ~それわかる~~」という気持ちよさがあったのと、言及されている本2冊を読んでみたいと思えたのが非常によかったです。

この本は6章で終わりです。6章は著者の千野さんがご自身の体験を語るところから始まります。「体験の話 ~ そこから得た気付き ~ そして伝えたいこと」という流れを経て本は終わるのですが、この気付き(を千野さん以外の方にも伝わるように抽象化した)部分であまりにも肩透かしを食らってしまいました。Kindleでメモを付けながら読んでいますが「ええ?こんなのあたりまえでは?」という感想が残されています。

ここは著者の千野さんご自身にとっては凄い気付きであったというのはわかります。しかし、それはご本人の経験を踏まえたうえであって、それを抽象化(一般化)したものに対しては「ええ?こんなのあたりまえでは?」というのが正直な感想になってしまいます。その後しばらく「もしかしてあたりまえじゃないのか…???」と考えたのですが、周りの人間を思い返しても大なり小なりみんな考えている(その結果によって加害・被害が生じているかは別として)ように思えます。

ラストで自責について言及してあります。ここで伝えたいことはわかりますし、その切り口があるのもわかりますし、それが本当の話なのかどうかというのは確かにそうなのですが、少なくとも自責の念が強い人はおそらくそれらを加味したうえで、それでも自責の念を感じるわけで、ここのメッセージはあまり通じないのでは?というのが正直なところです。そこからもう少し話が展開するのかと思ったのですがそのまま終わってしまって「えぇ??終わり??」と思いました。

ただ、この肩透かし感によって、深く考えてみたり、果てはどのあたりの年齢層を狙った本なのだろうか?という本筋に関係のないところを考えてみたり(考えた結果、謎が深まってしまった)と、いろいろと考えるきっかけが生まれてよかったのかもしれないと感想を書きながら思いました。おわり。