Kindleで面白そうな本がないか雑に探していたところ、目に留まったので購入しました。


人間をお休みしてヤギになってみた結果 (新潮文庫)


直近で「なめらかな世界と、その敵」を読んでいたので小説関連のレコメンドで表示されているという思い込みがありました。ですので、タイトルを見たときにパッと浮かんだのは「小説かな?」です。小説をもう一冊読むのもありだと思ったのでそのまま開いて紹介文を読みましたが、なんかどうもヤギになるのを試みた男の話のようです。この辺りまでまだそういう体の小説だと思ってました。そして文の最後に「イグノーベル賞を受賞した抱腹絶倒のサイエンス・ドキュメント。」との記述があり、その一文を読んで初めてそれを試みた人間がいるというのを理解しました。

最終的にヤギになってアルプスを越えるまでの過程が描いてありますが、そこに至るまでに全体の文章の80%以上が割いてあり、ヤギになるまでを試行錯誤したものを面白おかしく書いたものが中心です。Kindleでハイライトを引いてメモを書くというスタイルで本を読んでいますが「うける」か「ワロタ」しか書いてないメモが大量にあり、なかなかのパワーワードのオンパレードなので読み物としてはかなり面白いです。邦訳も秀逸で、それも相まって文章はふざけた個人ブログのノリです。(内容はまじめですが文体が)

前半部は人と動物の違いは何なのかという観点で哲学的、生物学的な2つの側面で書いてあります。ここではシャーマンに会いに行き、儀式に参加するといったものも存在するなど一見ふざけているように思えますが、そこから人と動物の違いに哲学的に踏み込んだ後に生物学的にどう違うのかというのを生物学者の方との対話で掘り下げていく…と、文章としてきちんと順序だててあります。特にシャーマンからの歴史的・哲学的なくだりは興味深い内容で一読の価値はあると思います。個人的にはここが最も面白かったです。その後はヤギ農園に行く、ヤギと人間の違いについて学ぶと続いて、後半部はヤギを解剖する、ヤギの歩行器具と消化器官を作るなど、ヤギになるまでの過程は段階を踏んで行われています。

既に書いた通り、ヤギになるまでで本の80%以上くらいが割いてあり、なおかつ残り10%は謝辞と訳者あとがきなので、ヤギになってみた部分は全体の10%にも満たないです。なので、そこにすごく期待して購入すると肩透かしを食らうかもしれません。また、後半のヤギの解剖は写真が何枚も写っているので、そういうのが苦手な人には厳しいパートもあるかもしれません。自分は思ったより全く大丈夫でした。これは以外でして、ゲームとか映画のスプラッタな方がよっぽどかグロだと感じました。

一からトースターを作った話については私も知ってはいた(本は未読で話題のみ)のですが、同じ方なのでそちらも読んでみたいと思います。