事例別に細かく分けられているため隙間時間に読むのにピッタリかと思ったのですが、うっかり一気に読んでしまいました。


虚言癖、嘘つきは病気か ― Dr.林のこころと脳の相談室特別編 impress QuickBooks


きっかけは著者である林公一先生ご自身による紹介文を読んでです。私は林先生には淡々としたイメージを抱いていたのですが、この紹介文を読んで「もしかして面白い方なのでは??」と思った。面白いかもしれない方が面白いといっている本を読まないわけにはいかないので読みました。ちなみにKindle Unlimitedの対象でした。[1]

44事例のうちの多くが精神科QAの中の事例がベースとなっています。以前読んだ統合失調症という事実とは打って変わって、病気そのものに対する解説はあまりないという感じで、林先生ご自身の虚言(あるいはそう思われる事例)に対する考察をが主となっているような感じです。これは本の中でも言及してある通り、この分野が医学的研究が少ないというのも多少は影響を受けているのではないかと思いました。

多くは精神科QAからですが、世間を騒がせた6事例もでてきます。個人的にこれが読みたかったです。これらは各事例の合間に説明されます。精神科QAの事例が20件ほど紹介され、その次にiPS移植のM氏、全聾の某S作曲家、H県議員N氏の3事例が取り上げられます。これらは他の事例と違って多めの考察が書いてあり読みごたえがあります。H県議員N氏の考察では号泣会見の内容が文章に落としこまれており「アハーーヘェヘェヘェヘェーン」などという文面を見た瞬間に不覚にも笑ってしまいました。

それらが終わると、次にノルウェイの森からの登場人物への考察が1章使用して書かれています。ノルウェイの森は1987年の発刊のようで、当時はいまよりも情報は少ないと思うのですが、それでも林先生のここまでの考察などと照らしていくと本を書くにあたって相当綿密に取材を行っているであろうことがわかります。ここも非常に面白いセクションではあります。

これが終わるとまた間に事例を挟んでラストにまた3事例ほど世間を騒がせた事例が出てきます。まず南アフリカの手話通訳者の事例ですが、実はこれはこちらに掲載されているのとほとんど同じでした。次は某金メダリストの性犯罪についてですが、こちらは裁判の判決文に照らし合わせながら解説が進みます。裁判所は被告人・被害者の供述はちゃんとどういう点でどこまでみているのかというのが林先生の解説付きで読むことができる興味深い内容です。あとは10代に(コールで)一気飲みさせるような哀れな30代がいるんだなという感想も抱きました。ラストを飾るのはR研のO氏ですが、当時雑にニュースを見ていた側としては物事が慌ただしく二点三点したのを覚えているのですが、そこの背景の部分に関して弁護士の視点等などを交えた仮説も入っておりこちらも興味深い内容です。

本の中で度々でてくるのがどこからが病気といえるのか、その線引きについてで、正直に書くと「統合失調症という事実」と「虚言癖、嘘つきは病気か」に出てくる事例の中でこれは部分的に自分にも該当するであろうというのはあります。大なり小なりほとんどの人が部分的に該当するものがある。と思いますし、信じたいですが、実際のところほとんどの人にあるのかどうかはわかりません。そうであればそうであるほど、病気との線引きというのは難しくなるよなぁ。という感想を抱きました。

あと、個人的に次のところは印象に残りました。

インターネットは、虚言が増幅する空間である。嘘をつく。年齢を偽る。性別を偽る。職業を偽る。他人になりすます。他人を中傷する。人を不安にさせる嘘の情報を流す。人を喜ばす嘘の情報を流す。<中略> 本人も虚言への罪悪感が希薄になる。インターネットは虚言者を育てる。

林 公一 虚言癖、嘘つきは病気か ― Dr.林のこころと脳の相談室特別編 impress QuickBooks (Kindle の位置No.916-920) 株式会社インプレス Kindle 版

個人的にインターネットの他人の意見は、特に見ず知らずの他人の露出の高いのが見て取れるのはあてにならないと思っていますので自分で判断して自分で決めるしかないと思ってます。おわり。


  1. 私はKindle Unlimited 入ってないので買いましたが ↩︎