Kindleのレコメンドで表示されていて何となく買いました。読み終わったので雑に感想を書いていきます。

カジュアル風味な表紙とタイトルに反して中身はボリューミーな生物学・生理学的な読み物です。それもそのはずで、著者の方は生理学の教授であり、第一人者がきちんと書いた内容です。また、原題は「The science of survival」で訳すと「サバイバルの科学」です。ただ、このタイトルだとおそらく手に取らなかったと思うので、まあ、良い邦題なんじゃないかと思います。

ボリューミーですが、専門的かどうかといわれればそういうこともなく、ほぼ知識のない状態でも十分読むことは可能です。全7章で、各章で高さ・深さ・暑さ・寒さ・体力的限界・生命的限界について語られます。基本的に人間がどこまで…という形ですが、多くは比較に動物が用いられます。例えば鳥や魚は人間と異なり○○なつくりのため××に耐え得るなどです。最後の方の生命的な限界の話はもはや人間とか動物がどうこうできる環境の話ではないので単細胞生物がどうとかの話とかになってきます。

最終章を除いてスポーツや地球上の人類が活動している環境での肉体の限界を記述したものが主となりますが、私は運動やスポーツをしないので実際そんな状況に陥ることがなさそうな例が多かったです。ダイビングとか登山する人、あるいは何かしらのスポーツをする人は知識として持っておいた方が良い内容は多かったと思います。個人的に使う機会がありそうなのは下記くらいでした。

  • 熱中症発生時は生ぬるい水で浸したスポンジで全身を拭け
    • 気化熱で効率的に下げることができる。ただし、冷水だと血管が収縮して逆効果
    • 重症の場合は太い血管の周辺にアイスパックをあてる
  • 極寒の海に投げ出されたときは厚手の服を着まくっておとなしくしておけ

他には下記の内容が印象に残っています。

  • カフェインは運動能力を向上させる(原理は解明されていないらしい)
  • 火あぶりの刑は罪人の魂を清めるため
  • 頭を下に傾斜させて長期間過ごすと骨・筋肉・心臓が弱くなる
    • これ、ついこないだNASAが被験者募集してなかったか…??

ボリューミーなので細かく覚えているわけではないですが、他にも面白い内容は多いです。人体の仕組みについて知りたいのであればよい読み物だと思います。

実例が少し古いなぁ(だいたい1990年代までで、一部2000年代後半がある)と思ったのですが、読み終えて確認すると初版は2002年で、電子書籍は2014年第7刷をベースに作成されたものでした。出版時点では解明されていなかったもののうち、今であれば解明されているものもあるのではないかと思います。

本を通じて全体的に感じたことは人の体は上手くできているものの、想像以上に脆く、ちょっと平時の環境からそれてしまうといとも簡単に崩壊してしまうという点です。これを読めば[1]、液体窒素で冷凍保存して将来復活するというのがいかにアレアレな行為かよくわかると思います。

最後に、肉体の限界を探るために先人達が身を粉にして自分(や時には身の回りの人)を実験台にしてきたという、エピソードをいくつも読むことができます。皆さん先人に感謝しましょう。


  1. まあ、読まなくても自明なのですが ↩︎